東京高等裁判所 昭和40年(く)66号 決定 1965年7月14日
少年 Y・T(昭二一・一〇・三一生)
主文
本件抗告を棄却する。
理由
本件抗告の趣意は、要するに原決定が少年を中等少年院に送致した処分は不当だという趣旨のものと解されるが、記録を検討してみると、抗告申立人は少年の実父であつてこれを現に監護する立場にあつた関係上原審では保護者として審判の席にも列席した者ではあるけれども、少年は昭和二七年以来Y・S、Y・N子の養子となつているので、抗告申立人は少年の法定代理人ではなく、また原審において家庭裁判所の許可を受けて少年の附添人となつたわけでもない。ところが、少年法第三二条によると、保護処分の決定に対する抗告は、少年自身のほかはその法定代理人または附添人しかこれをすることができないのであるから、そのいずれでもない抗告申立人のした本件抗告は手続がその規定に違反したもので、同法第三三条第一項によつてこれを棄却するほかはないので、主文のとおり決定する。
(裁判長判事 新関勝芳 判事 中野次雄 判事 伊東正七郎)